サルの弁慶

saru20052005-02-02

歌舞伎十八番のうち、勧進帳といえば、歌舞伎贔屓でなくても知っている演目である。昨年、十一代目市川海老蔵が誕生したので、ことさらに勧進帳は知れ渡っている。

♪「元より勧進帳のあらばこそ、笈の内より往来の巻き物 一巻 取り出だし、勧進帳と名付けつつ、高らかにこそ読み上げけれ。」 と、長唄が唄う。

弁慶 『それ、つらつら、おもんみれば。大恩教主 の秋の月は、 涅槃 の雲にかくれ、 生死長夜 の永き夢、驚かすべき人もなし。爰に中頃の帝おわします。御名を聖武皇帝と申し奉り、最愛の夫人に別れ、恋慕やみがたく、涕泣眼に荒く 涙玉を貫く。思いを先路にひるがえし、上求菩提の為、盧遮那仏ト建立し給う。然るに去んじ治承の頃、焼亡畢んぬ。かかる霊場絶えなん事を歎き、俊乗坊重源、勅命ノ蒙って、無常の観門に涙を流し、上下の真俗を勧めて、彼の霊場を再建せんと、諸国に勧進す。一紙半銭、奉財の輩 は、現世にては無比の楽に誇り、当来にては数千蓮華の台に坐せん。帰命稽首、敬って 白す。』

♪ 天も響けと読みあげたり。

ご存知「勧進帳読み上げ」の一段である。
この絵は、ナント猿の弁慶である。昨年は甲申の年だったので、このような珍しいサルの弁慶の年賀状をいただいた。